相続によって土地や家屋を相続したときなど、扶養に入っている方が不動産を取得することもあります。
使わない不動産は早めに処分したほうが良いものの、譲渡所得が扶養や控除にどう影響するのかは知っておいたほうが良いでしょう。
今回は、譲渡所得によって扶養控除は外れないのか、外れるケースのデメリットや外れないようにする対策についてご紹介します。
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譲渡所得は扶養控除から外れないのか
不動産を売却すると、取得したときの費用や売却にかかった費用の合計を上回り、譲渡所得が発生する可能性があります。
譲渡所得は給与所得などと同様、個人の所得に当たるため、税金などの扶養に影響を与えることもあります。
税金の扶養控除は外れる可能性がある
不動産を売却して譲渡所得を得たとき、税金に関する扶養控除は外れる可能性があります。
所得税や住民税など、前年の所得に応じて税額が決定する税金は、一時的な所得も加味して税額を決定するため注意が必要です。
譲渡所得を得た年の翌年1年間、扶養控除から外れて税額が上がる可能性があります。
社会保険は扶養控除から外れない
健康保険と厚生年金を合わせた社会保険は、譲渡所得を得ても扶養控除からは外れないのが特徴です。
社会保険については、譲渡所得のように継続しない一時的な所得は対象外になります。
そのため、不動産を売却して譲渡所得を得ても社会保険の扶養控除には影響しません。
ただし、健康保険組合の規定によっては、一時的な所得も対象に入る可能性があります。
したがって、実際に扶養控除が外れないかどうかは加入している健康保険組合の規定を確認することが大切です。
税金の配偶者控除
不動産を売却して譲渡所得を得ると、税金の配偶者控除が外れる可能性があります。
配偶者控除とは、扶養に入っている家族がいる納税者の所得税や住民税を軽減する仕組みです。
婚姻届を提出している民法上の配偶者に限り、納税者本人の収入が1,000万円以下であれば配偶者の収入48万円まで、給与所得のみならば103万円までは税金を控除できます。
また、配偶者特別控除が適用されるケースでは、配偶者の所得は48万円を超え133万円以下に収まるときに控除を受けることが可能です。
いずれの制度でも、普段扶養に入っている方の収入が譲渡所得によって上限を超えると一時的に控除が外れます。
そのため、扶養に入っている方の所得税と住民税が上がるだけでなく、納税者の方の所得税と住民税も控除が外れて高くなる可能性があるのです。
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譲渡所得によって扶養控除が外れるデメリット
譲渡所得を得て扶養控除から外れることによるデメリットは、支払う税金が通常より増える点です。
それも、単純に譲渡所得を得た方の納税額が増えるだけではありません。
不動産を売却する前に、譲渡所得を得ることによるデメリットを把握しておくことが大切です。
所得税と住民税が発生する
譲渡所得によって扶養控除から外れると、所得税と住民税の支払いが発生するデメリットがあります。
所得税や住民税は、得られた所得の金額によって税額が異なる税金です。
譲渡所得税には給与所得とは別途所得税と住民税が課され、まとめて譲渡所得税と呼ばれています。
納税者側の納税額が増える
譲渡所得により扶養に入っている方の扶養控除が外れると、扶養していた側の納税者の方の税金も増えるデメリットがあります。
通常は配偶者控除により納税者の方の所得税や住民税も抑えられていますが、扶養から外れるとこれを受けられなくなるためです。
そのため、一時的に税金を通常より多く納める必要があり、給与所得からの天引き額が大きくなります。
なお、扶養控除が外れるのは1年間のみであるため翌年からは元に戻るでしょう。
譲渡所得を計算するには
本人の所得税や住民税が発生する、扶養している方の納税額が上がるなどのデメリットが発生するかどうかは、実際に譲渡所得があるかに左右されます。
譲渡所得は不動産売却で必ず発生するわけではないため、状況によってはこれらのデメリットが起きない可能性もあるでしょう。
まずは、予想される譲渡所得がいくらになりそうかをチェックし、デメリットとの釣り合いを考える必要があります。
譲渡所得として計上されるのは、不動産を売却したときの売却代金のうち、取得費と譲渡費用を除いた利益のみです。
取得費とは、不動産を取得したときに支払った費用であり、購入代金や印紙税、登録免許税などの税金、不動産会社への仲介手数料などが含まれます。
具体的な取得費がわからないときは概算取得費を適用し、売却代金の5%にあたる金額を取得費としますが、基本的に本来の取得費よりも低くなる点に注意が必要です。
譲渡費用は、不動産を売却するときに支払った仲介手数料や印紙税などの諸費用を指します。
これらの費用を差し引いた残りの金額を譲渡所得、さらにそこに特例や控除を適用したあとのものを課税譲渡所得と呼び、税率をかけて譲渡所得税を計算します。
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譲渡所得によって扶養控除から外れないための対策
譲渡所得によって扶養控除から外れないようにするには、さまざまな対策を講じておくことをおすすめします。
不動産の売却価格が高くなりすぎると控除から外れやすくなるため、価格を抑えると扶養の範囲内で収めることもできるでしょう。
ただし、不動産売却で得られる利益が高ければ支払う税金よりもプラスが大きくなります。
そのため、あえて扶養の範囲内に収めようとするよりも、高額で不動産を売却するほうが優先順位が高いでしょう。
特別控除を適用する
扶養から外れないように不動産を売却する対策のひとつは、譲渡所得に対する特別控除を適用することです。
相続した空き家の売却では、譲渡所得を3,000万円まで非課税にして税額を抑えられる可能性があります。
これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼び、相続開始の直前まで被相続人が住んでいた住宅でなければなりません。
また、1981年5月31日以前に建てられた住宅で、マンションなどの区分所有建築物でなく、相続の開始直前から譲渡までの間に被相続人以外が住んでいない物件に限ります。
さらに、相続が開始された日から3年後の12月31日までに売却を済ませる必要があるため注意しましょう。
納税者側に贈与してから売却する
不動産の売却後に扶養から外れないための対策には、扶養に入っている方から納税者の方に不動産を贈与してから売却する方法があります。
贈与によって納税者の方のものになった不動産を売却するのであれば、扶養に入っている方の所得にはなりません。
そのため、扶養に入っている方に課される税金への対策になります。
一方で、納税者の方の配偶者控除に対する対策にはならない可能性が高いです。
不動産売却によって納税者の方の所得が1,000万円を超えてしまうと、結局配偶者控除の対象外になってしまいます。
そのため、扶養に入っている方の税金対策になっても、納税者の方の所得税や住民税は上がってしまうのです。
また、不動産を贈与すると贈与税や所有権を移転するための登録免許税がかかります。
贈与税の金額によっては、かえって税金が高くなり節税対策にならない可能性があります。
贈与税と登録免許税を支払うケースと扶養から外れて所得税と住民税を支払うケース、どちらがより節税になるかをよく検討することが大切です。
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まとめ
不動産を売却して譲渡所得を得たとき、社会保険の扶養には影響はありませんが税金の扶養は外れる可能性があります。
税金の扶養が外れると、所得税と住民税が発生し扶養している方の配偶者控除も外れるため注意が必要です。
扶養への影響を少なくするためには、特別控除の適用や贈与などの方法が考えられます。
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輝広
加古川市を中心に地域に根ざした親身で誠実なサポートを心がけています。
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