不動産における心理的瑕疵とは、物件そのものに構造的な問題がないにもかかわらず、住む方に心理的な抵抗感を与える特徴を指します。
不動産を売却する際には、売主は心理的瑕疵の存在を買主に必ず伝える義務があるんです。
本記事では、不動産売却を検討している方に向けて、心理的瑕疵の概要や物件の売却価格への影響、告知義務の詳細とその違反による影響について詳しく解説します。
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不動産売却における心理的瑕疵とは?
心理的瑕疵とは、建物の構造や設備に問題がないにもかかわらず、住むことや購入することに心理的な抵抗感や嫌悪感を抱かせる欠陥のことを指します。
その典型例が「事故物件」と呼ばれるもので、自殺や他殺など人の死が発生した物件が該当します。
このような自然死や病死以外の死亡が室内やその周辺で起きた場合、多くの場合心理的抵抗感が生じるのです。
たとえば、全国的に報道された事件が発生した物件では心理的影響が大きく、不動産市場において敬遠されることが多いです。
近年では、心理的な抵抗感のとらえ方が多様化しており、買主の価値観によって取引の成否が左右されるケースもあります。
心理的抵抗感となるその他のケース
心理的瑕疵は、人の死だけに限りません。
以下のような状況でも、住む方に大きな不安を与える場合があります。
●一定期間放置された孤独死
●火災が起きた物件
●忌まわしい事件・事故
これらのケースでは建物の構造自体に問題がなくても、人によっては強い嫌悪感を持つため、結果として心理的な負担を与えることがあります。
火災が起きた物件では、建物の修繕が終わっていても「かつて大火災が発生した」という事実が残り、購入希望者が抵抗を感じるかもしれません。
また、孤独死があった物件では、近隣住民の噂や事件性の有無が気にされ、地域コミュニティへの影響も懸念されます。
心理的抵抗感と告知義務
心理的な抵抗感を生じさせる不動産を売却する際には、買主にその事実を告知する義務があります。
告知義務は、売主または不動産会社が誠実に物件情報を提供する責任の一部です。
具体的には、重要事項説明書への記載に加え、面談や契約時に口頭で詳しく伝えることが一般的になります。
不動産会社はこの手続きの中で、物件にまつわる心理的負担となり得る情報を整理し、トラブルを防ぐよう努めています。
なお、告知を怠った場合、後に損害賠償請求や契約解除などの問題に発展するリスクがあるので注意しましょう。
告知基準の不明確さとガイドラインの制定
心理的抵抗感を生じさせる要因が告知の対象となるかどうかは、これまで曖昧な部分が多く、告知期間も明確ではありませんでした。
そのため、告知義務を巡るトラブルが頻発していたのです。
この問題を解決するため、2021年に国土交通省が「人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。
ガイドラインにより告知の基準が明確化され、不動産売買におけるトラブルを未然に防止することが期待されています。
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心理的抵抗感がある不動産の売却価格はどれくらい下がるのか?
所有する不動産が心理的に敬遠される物件となった場合、資産価値がどの程度下がるのかは多くの方にとって気になる点です。
一般的には、いわゆる事故物件は相場より2~5割ほど低い価格で取引されることが多いとされています。
売却価格が下がる理由としては、物件を購入後に賃貸運用する際にも心理的なハードルが残り、入居者が集まりにくいと考えられる点があります。
また、都市部よりも地域社会とのつながりが強い地方では、周囲の認知度が高まる分、価格がさらに低下しやすい傾向があるのです。
心理的抵抗感と事故物件の基準
事故物件とは、自殺や他殺など事件性のある不自然な死が発生した物件を指します。
法律上、これらの事例は告知義務事項として扱われます。
一方で、病死や老衰といった自然死は原則として告知義務の対象外です。
ただし、発見の遅れなどにより特殊清掃が必要だった場合は例外となり、事故物件とされる可能性があります。
自然死と告知義務の関係
以下のような状況下では、自然死でも告知義務が必要になることがあります。
●死亡の発見が遅れ、悪臭や汚染が残った場合
●警察や救急車の出動により、周囲の人々が事実を知った場合
こうした状況がない場合でも、売主は不動産会社に起こった事実を伝えておくことが望ましいです。
売却価格の下落幅は事故の内容次第
事故物件の価格下落幅は、どのような経緯で人が亡くなったかによって変動します。
たとえば、自殺や他殺など事件性が強い場合は嫌悪感も大きく、相場の半分まで値下がりすることも珍しくありません。
さらに、マスコミ報道などで物件の印象が大きく損なわれると、より売却が難しくなるのです。
一方で、自然死や孤独死などでは心理的なハードルがやや低めとみなされ、値下げ幅が2割程度にとどまるケースもあります。
買主の印象が悪いほど、結果的に値引きが進むため、オーナーにとっては慎重な対応が求められます。
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不動産売却における心理的瑕疵物件の告知義務
心理的瑕疵は「人が嫌悪感を抱く欠陥や欠点」とされ、不動産取引の場面ではとりわけ重要視されます。
事故物件として扱われるかどうかの分岐点となるため、売主や不動産会社には十分な告知が求められます。
告知義務違反の影響
告知義務を怠ると、不動産会社や売主にはさまざまな責任が生じます。
たとえば、ある不動産業者が事故物件であることを隠したまま売却し、後に買主が心理的負担を理由に契約解除を申し立てた事例があります。
このとき、不動産業者は行政処分を受けるだけでなく、買主への多額の損害賠償も負うことになりました。
こうした事例は業界全体の信用問題につながるため、告知義務の徹底は非常に重要です。
1.行政上の処分
不動産会社が告知義務を守らなかった場合、国土交通大臣や都道府県知事から最長1年の業務停止命令が出されることがあります。
悪質なケースでは免許取り消しもあり得ます。
2.刑事上の罰則
宅地建物取引業法第79条の2に基づき、告知義務違反には2年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科される場合があります。
3.民事上の責任
買主や借主との契約における債務不履行として、損害賠償請求や契約解除などの民事責任が発生する可能性があります。
損害賠償請求では経済的損失だけでなく、精神的苦痛に対する慰謝料が認められることもあります。
契約解除に至ると、不動産の売買が白紙に戻るため、売主も大きな損害を被る場合があります。
自然死や突然死の特例
自然死
自然死の大半は告知義務の対象外ですが、長期間発見されずに特殊清掃が必要になった場合は、事故物件として扱われることがあります。
特殊清掃には害虫の駆除や建物内の徹底的な洗浄が伴うため、追加費用がかさむだけでなく、地域にも不安が広がる可能性があります。
突然死
心筋梗塞や乳幼児突然死症候群などのケースでも、発見が早ければ告知義務の対象とはされません。
しかし、発見が遅れた場合は事故物件に分類されることがあるため、迷う場合は不動産会社に相談することが大切です。
専門家の見解を踏まえて判断することで、後々のトラブルを回避できます。
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まとめ
心理的瑕疵とは、建物自体に問題はなくても、人によっては住むことに強い抵抗感を抱かせる要因を指します。
自殺や他殺、火災、孤独死などが典型的な事例となり、不動産を売却する際には売主や不動産会社が買主に告知する義務を負います。
この義務を怠ると行政処分や損害賠償などのリスクが生じるため、正確かつ誠実な情報開示が不可欠です。
2021年にはガイドラインが定められ、心理的抵抗感を生じさせる可能性のある事例の取り扱いが明確化されました。
トラブルを避けるためにも、売却時には専門家と相談しながら告知義務を果たし、買主との信頼関係を構築することが重要です。
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輝広 メディア編集部
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