
親に認知症の兆しが見え始めた場合、相続に関する準備は早めに進めることが重要です。
認知症を発症すると判断能力が低下し、遺言や契約といった法的手続きが困難になるおそれがあります。
家族間のトラブルを避けるためにも、親が元気なうちに話し合いをしておくことが大切です。
本記事では、認知症と相続の関係性や、事前に取るべき対策のポイントについて解説いたします。
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認知症の兆候が見えたら始める相続対策

親に認知症の兆候が見られたら、まず本人の「判断能力」がどの程度あるかを確認することが、相続対策の出発点になります。
ここでは、「医療機関での受診」「判断能力がある場合の遺言作成」「判断能力がないと見なされる場合」の3点を解説いたします。
医療機関での受診
親に物忘れや時間感覚の乱れが見られたら、早めに専門外来を受診することが第一歩となります。
もの忘れ外来や認知症疾患医療センターでは、HDS‑RやMMSEなど複数の検査を組み合わせ、記憶・見当識・言語能力を総合的に評価します。
検査は短時間で負担が少なく、進行度の把握や治療計画にも役立つでしょう。
結果は将来、遺言作成時の意思能力を証明する資料にも活用できるため、診断書や検査結果を保管しておくと安心です。
診断費用は健康保険が適用されるため、経済的負担は比較的小さく、地域によっては無料相談窓口もあります。
地域包括支援センターなら、介護保険や生活支援サービスの調整も受けられるでしょう。
診断結果は、介護保険の申請やサービス利用の基礎資料にもなるため、早期診断には生活支援という面でもメリットがあります。
判断能力がある場合の遺言作成
民法961・963条は、遺言者が内容を理解している限り遺言は有効と定めています。
軽度の認知症でも判断力が残っていれば遺言作成は可能で、発症直後なら十分間に合うことも少なくありません。
公正証書遺言は、公証人と証人2名が立ち会って作成し、公証役場で原本を保管するため、形式面の信頼性が高いのが特徴です。
2020年施行の自筆証書遺言保管制度を併用すると、低コストで補完的に遺言書を残すことも可能です。
例えば、共有ではなく特定の子に帰属させる場合でも、公証人が経緯を確認しているため相続人間の納得感が高まります。
証人2名が立ち会い、公証役場に原本が保管されるため、紛失や改ざんのリスクも低減できます。
公正証書遺言の作成費用は相続財産の価額によって変動しますが、後日の訴訟費用と比べれば十分に抑えられる水準です。
作成日には家族も同席し、作成の経緯を記録に残すことで、さらなるトラブル防止につながるでしょう。
判断能力がないと見なされる場合
医師の診断書で判断能力の欠如が示されている場合、その直後に作成した遺言は無効となるおそれがあります。
裁判所は診断時期と作成時期の近さ、医師の所見、作成状況の記録などを総合的に評価します。
映像や医師立会いの記録を残し、家族にも作成経緯を共有しておくことで、後日のトラブルを未然に防げるでしょう。
逆に診断から長期間が経過していれば、本人の意思能力が部分的に回復している可能性もあるため、専門医の再評価を受けることで有効性を担保できる場合があります。
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認知症に備える遺産分割協議の相続対策

親が元気なうちに相続の準備を始めることは、将来の家族間の無用なトラブルを防ぐために不可欠です。
ここでは、重要な「二次相続対策」「不動産トラブルの回避」「生前の話し合い」という3つの対策を解説いたします。
二次相続対策
一次相続で資産を配偶者に集中させると、二次相続で配偶者控除が使えず基礎控除額も縮小するため、税負担が増える傾向があります。
納税資金が確保できないと、不動産を売却しなければならない事態も起こり得ます。
とくに、都市部の不動産は評価額が高く、二次相続でまとまった納税資金を用意できないと、物件を急いで売却する事態にもなりかねません。
生前贈与や保険、遺言を組み合わせ、早期から納税資金と負担の平準化を図ることが重要です。
不動産トラブルの回避
不動産を兄弟で共有名義にすると、売却・建て替えには全員の同意が必要となり、固定資産税や修繕費の負担割合でも揉めやすくなります。
活用方法が決まらず物件が塩漬けになれば、維持費だけが家計を圧迫します。
共有の解消には、持分売却や共有物分割訴訟といった手続きが必要で、時間と費用がかかるでしょう。
家族信託を活用すれば、委託者が認知症になっても受託者が管理・処分をおこなえるため、資産凍結を防げます。
信託契約は、公証役場で作成するのが一般的で、公証人手数料は財産額によって異なりますが数万円程度から可能です。
生前に相続内容を話し合うことのメリット
生前に財産の分け方を話し合い「この家は長男、預貯金は均等分割」など大枠を共有しておくと、相続発生時の感情的対立を抑えられるでしょう。
また、親の意向を書面にまとめておくことで、子世代が判断に迷うリスクを減らせます。
財産目録を作成し、誰が何を相続するか骨子を示しておけば、専門家のアドバイスも受けやすく手続きが格段にスムーズになります。
不動産や金融資産を一覧表にまとめ、相続人全員で情報を更新しておくと手続き漏れを防げるでしょう。
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相続協議が成立しない場合の対策

遺産分割協議がまとまらないと、税金や不動産管理の面で様々なリスクが生じます。
ここでは、協議が長期化した場合に起こりうる「税制上の不利益」「相続関係の複雑化」「空き家の管理問題」について解説いたします。
遺産分割協議に期限はない
遺産分割協議に期限はありませんが、相続税の申告期限(10か月)を過ぎると配偶者控除や小規模宅地の特例が適用できず税負担が膨らみます。
税率が上がるだけでなく、延滞税や加算税が発生する恐れもあるため注意が必要です。
期限内に分割が終わらなくても申告は可能ですが、いったん未分割で申告すると後日に修正手続きが必要になるうえ、控除の適用を受けるには改めて税務署に請求しなければなりません。
さらに、金融機関の預貯金や有価証券が凍結され、生活費や葬儀費用の捻出が難しくなるため、早期合意が望まれます。
相続人同士で意見がまとまらない場合の問題点
話し合いがまとまらず協議が長期化すると、相続人の死亡により数次相続が発生し相続人が増え調整がさらに困難になります。
家庭裁判所の調停には時間と費用がかかり、家族間の感情的対立も深まるため、専門家の助言を受けてできるだけ協議で解決を図りましょう。
裁判所による審判は最終手段であり、強制力はあるものの家族関係の修復は難しくなるため、早期の話し合いが望まれます。
専門家には司法書士や税理士、弁護士などがあり、関与の範囲や費用感を早めに確認しておくとトラブル防止につながります。
空き家の管理問題
空き家を放置すると、老朽化による資産価値の低下だけでなく、放火や不法侵入など治安上のリスクも高まります。
景観の悪化や雑草の繁茂が近隣トラブルを招くケースも多く、最終的に損害賠償責任を問われることもあります。
行政代執行で解体費用を請求される例もあり、早期対策が不可欠です。
特定空き家に指定され勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が軽減前の額まで戻って負担が大きくなり、条件によっては最大で約6倍となる場合もあります。
基準や手続きは自治体ごとに異なるため、こうした税負担を避けるには管理委託や早期売却などの対策を前もって検討しておくことが大切です。
早期に管理会社へ委託し定期巡回をおこなうだけでも、修繕費と周辺トラブルの発生確率を大幅に下げることができるでしょう。
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まとめ
親に認知症の兆候が見られた段階で、早めに相続対策を始めておくことが将来のトラブル防止に役立ちます。
家族間で事前に意見をすり合わせておくことで、遺産分割や空き家管理を巡る混乱を回避しやすくなります。
円滑な相続を実現するためにも、法的手続きや専門家への相談を含めた準備を早期に進めることが大切です。
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輝広
加古川市を中心に地域に根ざした親身で誠実なサポートを心がけています。
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