目次
根抵当権の付いた不動産も、売却できる可能性があります。
しかし、一般的な不動産売却とは異なるステップが必要となるため、売却の流れや注意点を押さえておくことが大切です。
今回は、根抵当権の付いた不動産の特徴のほか、売却の流れや気を付けたい注意点について解説します。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら不動産売却するなら知っておきたい!根抵当権の特徴とは?
根抵当権には、マイホームの購入時などに設定される抵当権とは違った特徴があります。
まずは、不動産売却にあたって知っておきたい根抵当権の特徴から解説します。
根抵当権とは
「根抵当権」の大きな特徴は、極度額の範囲内であれば何回でも借り入れができるということです。
極度額とは、不動産を担保に設定して借り入れができる上限の金額です。
根抵当権と似た言葉に「抵当権」もありますが、それぞれ特徴は異なってきます。
抵当権が多く活用されるのは、住宅ローンです。
抵当権は購入する不動産を担保にして設定され、万が一、債務者がローンの返済に困難が生じた場合、金融機関は不動産を差し押さえてから売却します。
担保の不動産を売却した売却益は、返済に充てられます。
問題なく住宅ローンを完済した場合には、抵当権の抹消手続きをおこなうことができます。
対して、根抵当権は借り入れをすべて返済しても、すぐには消滅しません。
根抵当権の抹消には、当事者の合意が必要です。
根抵当権は個人の不動産に用いられるケースもありますが、基本的には事業者向けで運転資金に用いられることが多いです。
極度額を上限として何回でも借り入れができるという特徴は、運転資金の調達を目的とした借り入れに適しています。
たとえば、根抵当権で設定された極度額が2,000万円だった場合、事業の運転資金として800万円を借り入れたとします。
残る1,200万円についても、運転資金が必要になったタイミングで借り入れることが可能です。
また、一度完済した場合でも根抵当権は消滅しないので、再び借り入れたいときにスムーズに借り入れができることが特徴です。
登記が必要なのは最初のみ
根抵当権と抵当権は、設定をするときに設定登記が必要になります。
設定登記をおこなう際には、費用として登録免許税と司法書士の手数料がかかります。
登録免許税は「借入額×0.4%(もしくは0.1%)」の計算式で求めることができ、納める場所は法務局です。
司法書士の手数料は、設定登記の手続きを依頼した場合に生じます。
抵当権の場合は、借り入れをおこなうたびに、これらの設定登記と費用が必要になります。
一方で、根抵当権の場合は、これらの費用が必要になるのは最初の設定のときだけです。
運転資金の借り入れをおこなう際、その都度、設定の費用がかかるということはありません。
最初におこなった設定登記が次回以降も有効であるため、登記の費用と手間が省けることも特徴のひとつといえます。
根抵当権付き不動産も売却可能!売却の流れ4つのステップを解説
不動産売却する際には、根抵当権の抹消手続きが必要です。
抹消の手続きのほかにも、根抵当権の付いた不動産の売却時には押さえておきたいステップがあります。
ここでは、売却時の流れを4つのステップにそって解説します。
①残債務の確認
最初の流れは、売却をしたい不動産の残債務を確認することです。
あわせて、査定価格も確認し、売却によって残債務が返済できそうかを判断します。
たとえば、査定価格が残債務よりも上回っている場合、それはアンダーローンの状態となります。
つまり、売却益により残債務を完済できるため、売却が可能です。
この場合、次の流れは債権者との交渉です。
一方、残債務が査定価格よりも上回っている場合、それはオーバーローンの状態となります。
オーバーローンの場合、自己資金を足すことで返済できる見とおしがつけば、次は債権者との交渉に移ります。
しかし、自己資金を用いても完済が難しい場合、根抵当権の設定された不動産の売却は基本的にはできません。
この場合は、残債務があっても不動産売却できる方法を検討します。
オーバーローンになるときの売却方法としては、任意売却という選択肢があります。
ほかにも、別の不動産を担保にすることなどで、金融機関に交渉するというのも手です。
②債権者に交渉する
不動産売却をして完済の見とおしがつく場合、次に債権者である金融機関に交渉をします。
根抵当権の付いた不動産への融資は、金融機関の利益につながっています。
そのため、簡単には承諾されない場合もありますが、売却を進めるには根抵当権の抹消に合意してもらうことが必要です。
債権者である金融機関の合意を得られるよう、根気強く交渉しましょう。
③元本確定する
債権者との交渉がまとまったら、次は元本確定の手続きです。
元本確定は、借り入れと返済を一旦止めて、現時点での借入額を確定させることです。
元本確定の手続きをした後は、根抵当権を利用した新たな借り入れができなくなります。
つまり、元本確定により、抵当権と同じ扱いに変わります。
抵当権と同じ性質になることで、すべて返済すれば根抵当権の抹消が可能です。
なお、元本確定の手続きができるのは、民法が定める一定の事由に該当するケースです。
たとえば、元本確定事由としては「債権者や債務者の相続開始から6か月以内に相続人を決める合意の登記をしなかった」「競売の開始や差し押さえになった」などがあります。
売却のために根抵当権を抹消する場合には、「確定期日を定めておらず、開始から3年経過し、根抵当権設定者が確定請求をした」という事由に該当することが一般的です。
④根抵当権の抹消と売却
次は、いよいよ不動産売却のための活動と手続きです。
売却活動をおこない、購入希望者が見つかったら根抵当権の抹消登記をして売却します。
抹消登記は法務局に申請し、引き渡しまでに完了させることが必要です。
売却する際に気を付けたい!根抵当権付き不動産を売却する注意点
根抵当権の付いた不動産の場合、一般的な売却とは異なる注意点があります。
最後に、根抵当権が設定されている不動産の売却において、気を付けたい2つの注意点を解説します。
注意点①債務者と不動産の所有者が異なる場合のトラブル
根抵当権が付いた不動産では、借り入れを受ける債務者と不動産の所有者が必ずしも同じではないことが注意点です。
債務者と所有者が異なるケースでは、所有者が気付かないうちに借入額が増えていることもあります。
場合によっては、売却をしても完済できないといったリスクになるため、トラブルにならないよう気を付けることが大切です。
注意点②元本確定した後は元に戻せない
根抵当権が設定された不動産の場合、極度額の範囲内で、借り入れと返済を何回でもおこなうことができます。
先述したとおり売却をする際には、元本確定が必要です。
元本確定の後、それ以降は根抵当権を担保にして借り入れができなくなります。
売却をすることが決まっている場合には、とくに問題ないでしょう。
しかし、根抵当権は事業の運転資金として用いられることが多いため、再び借り入れを検討する可能性がある場合には注意が必要です。
一度元本確定後をすると、元に戻すことはできません。
根抵当権の付いた不動産を売却するときには、将来を見据えて検討し、元本確定の手続きをおこないましょう。
まとめ
根抵当権の付いた不動産を売却する際は残債務を確認し、完済のみとおしが立てば売却が可能と判断できます。
また、根抵当権の付いた不動産の売却は、債権者である金融機関の承諾を得て、元本確定をしなければなりません。
一度、元本確定をおこなうと再び借り入れることはできないため、慎重に検討して手続きをおこないましょう。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら目次